YAMAHA WXA-50 は小さなできる子
* ワイヤレスでオーディオ環境を便利に
ここ十数年、自宅のオーディオ環境は特に変えることなく、プリメインアンプと CD プレーヤーを用いたシンプルな構成をとっていました.
スピーカーもフロント2機とサブウーファーのみの2.1ch仕様です(サブウーファーを使うことはほとんどありませんが).
さすがにこれでは CD からしか音楽を聴くことができませんので、当時流行りでもあったアンプに追加できる iPod ドックを追加させ、概ね iPod で聴いていました.
この環境でも悪くありませんが、iPod も古く電池がほぼ機能しなくなりつつあり、かつ、都度 iPod 操作で選曲しなければならないため、この度、オーディオ環境を見直すことに.
CD から音楽を聴くことがほぼなくなっていたことから、もっと軽快かつ便利に操作できるワイヤレスなオーディオ環境を検討することにしました.
知ってはいたものの手を伸ばしていなかった、ネットワークオーディオを物色です.
* アンプ一体か個別か
ネットワークオーディオプレーヤーを用いた構成は、基本下記のような接続になります.
プレーヤーが操作管理の窓口的な役割を担い、リモコンやスマートフォン向け専用アプリを介して音楽データを保管しておく NAS から曲を取り出すことで、アンプ & スピーカーから音を鳴らします.
構成にあたり宅内に無線ネットワークを組むことになりますが、それ以外は従来の環境と大きな違いはありません.
ただ、ここでひとつ迷いが生じました.
アンプ一体型のネットワークオーディオプレーヤーもあるとのことで、元々所持しているプリメインアンプを活かすか否か、です.
十数年も前のものとなりますので、操作反応がそれなりに鈍く遅いのです.
また、アンプの操作はプレーヤーとは別にしなければならないので、利便性に欠けてしまいます.
迷った結果、目的が利便性重視ですので、この機会にプリメインアンプを外す構成にすることにしました(スピーカーは使い続けます).
* 候補にあがったのはヤマハとマランツ
構成が決まりましたので、それを実現する機器の検討に入ります.
各メーカからリリースされていますが、サイズ感と操作感から候補を絞りました.
「YAMAHA WXA-50」と「marantz M-CR611」の2機種です.
YAMAHA WXA-50 は、非常にコンパクトなサイズでありながら、最大出力115W/ch(4Ω)なのが魅力です.
また、ハイレゾ音源は DSD 5.6MHzまでサポートされ、スマートフォン向け専用アプリ「MusicCast」の評判もよいです.
marantz M-CR611 は、多少サイズが大きくなりますが、その分 CD プレーヤーをあわせ持ち、入出力端子の数が多めです.
ハイレゾ音源は DSD 2.8MHzまでしかサポートされないのが少しマイナス点でしょうか.
マランツは元々好んで使用していましたので、知っている音に近い(かもしれない)と考え、はじめはマランツにしようと思いましたが…… YAMAHA WXA-50 リリース当時のメディア記事を読んでいたところ、小さな筐体へ詰め込まれたこだわりや技術に惹かれ、今回はヤマハを購入することに決めました.
* YAMAHA WXA-50 実機レビュー
ということで YAMAHA WXA-50 の紹介に入ります.
約25㎝四方とオーディオ機器として見るととっても小さく見えますが、筐体は金属でずっしりと重みがあり重厚です.
重みと言っても約2㎏と数値上は軽量です.
入出力端子は最低限な印象.
AV アンプのように5.1ch以上のサラウンド、かつ色々なデバイスで聴く使い方をするわけではありませんので、わたしにはこれで十分です.
できれば USB 端子がフロントにも1つあると使い勝手よく嬉しかったかなと.
初期設定は取扱説明書にあるようにすれば特に問題ありませんが、MusicCast 経由で設定することになりますので、予めスマートフォンと専用アプリ、無線ネットワーク環境を用意しておきましょう.
さて、それでは実際に聴いてみた感想ですが、あまりデジタルな感じがなくクリアで聴きやすい音でした.
わたしがよく聴くジャンルは、クラシックやジャズ、J-POP あたりで、これらを聞くには十分適している印象です.
MusicCast 内の Advanced Settings で音の設定を変えられるのですが、Enhancer や Bass Extension あたりを ON にするだけで、MP3 やネットラジオの圧縮音源であってもよい音(聴きやすい音)にしてくれます.
もちろん、スピーカーや部屋によっても音の聴こえ方が異なると思いますが……わたしが以前から愛用しているスピーカーは SCANDYNA の MINIPOD です、参考までに.
* USB 端子を用いたスマートな聴き方
前述のとおり、所持している音楽データは NAS に溜めて管理するのがネットワークオーディオの基本のように思えますよね.
それもよいのですが、NAS を設けるということは、そのコストも考慮する必要があります.
また、MusicCast で NAS にアクセスすると、NAS にあるフォルダが音楽に関係あってもなくても見えてしまい管理が煩雑になってしまいます.
NAS は PC データとあわせて音楽データなども一括管理するには効率的ですが、音楽を聴くことに限ると少し不便です.
そこで、NAS ではなく USB 端子から音楽データを読み込めるようにすればよいのでは、と思ったわけです.
USB 端子には外付け HDD をつなげることができますので、左記に音楽データを入れておくだけです.
さらに、数十~200GB程度の音楽データ量であれば、外付け HDD である必要もなく、USB メモリでもよいのです(その方が読み込みも速いはずです).
64GBの USB メモリが2,000円ほどで購入できる今、とってもお手軽にシンプルな音楽ジュークボックスをつくれちゃいますよ.
わたしは、この小さな USB メモリ(64GB)に数十GBの音楽データを入れてみました.
ハイレゾ音源を多く持つ方は、128GB以上の USB メモリを使うのもよいかなと.
これで、無線ネットワークを用いたワイヤレスなオーディオ環境を、ネットワークオーディオプレーヤー兼アンプである YAMAHA WXA-50 に集約して構築することができました.
具体的に言うと、所持音楽とネットラジオ、テレビ、PC のスピーカー出力が、スマートフォンに入れた MusicCast 経由ですべて完結なのです.
こちらは実際の接続状況、接続端子はほとんど埋まっていますね.
テレビオーディオは光端子、PC オーディオは AUX で入力させています.
YAMAHA WXA-50 1台で様々な機能を集約し、便利に使えるようにすることができます.
そして、一般的なリビングや個室であれば(十数帖の広さ)、十分納得できる音を鳴らすこともできます.
以上、ピュアオーディオや多チャンネルの AV オーディオにこだわる必要のない方に、小さく便利でシンプルにオーディオ環境を組みたい方に、とってもおすすめしたい子の紹介でした.