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日本とアジアの音楽市場について

調べごと

* 近年の音楽市場を調べてみました

今回、お仕事で色々と調査しているアウトプットから、音楽市場についてその市場規模や動向などを中心に、一部ですが紹介したいと思います.

市場分類について、なるべく音楽ソフト(パッケージ媒体)と配信(ダウンロード)、配信(ストリーミング)に分けてまとめています.

* 日本は音楽ソフトが中心、配信はまだまだ

まず、日本国内の音楽市場規模(2017年)について、CD や DVD といった音楽ソフト(パッケージ媒体)は2,320億円配信(ダウンロードやストリーミング)は573億円とされます.
音楽ソフトと配信の割合は、およそ8:2となり、まだまだ音楽ソフトをパッケージで購入されるケースが多いです.
また、配信のうち、ストリーミングの割合は約半数となり、2015年頃から浸透し始めたストリーミングがわずか2年で大きく成長しています.

音楽ソフトの市場規模は毎年減少傾向にありますが、配信は前年比108%成長となり、配信の中でもダウンロードは減少していることから、ようやく日本でもストリーミングが一般利用され始めてきたと言えます.

音楽市場

音楽市場

※ 出典:日本レコード協会

* アジアは配信が中心となって進展中

中国および東南アジア各国の音楽市場も見てみたいと思いますが、その前に、配信のリスニング環境に影響を与えるインターネット人口と普及率について触れます.

日本や韓国、台湾はインターネット普及率が90%前後と、既にほとんどの人たちがネット環境を有していまして、ユーザはそれを活用したサービスを多用しています.
そのほかの国ではそこまで高い数値にはならないながらも、50%を超える国は、中国、インドネシア、ベトナム、フィリピン、タイ、マレーシア(以上、人口の多い順)です.
いずれの国もその特徴として、モバイル(スマートフォン)によるインターネットの普及が下支えしています.
最も人口の多い中国を例にしますと、インターネット人口は約7.5億人、モバイルによる同人口は約7億人と、ネット環境のほとんどはモバイルによるものと言えます.

音楽市場

※ 出典:InternetWorldStats.com を参考に作成

■ 中国の音楽市場

インターネット(PC / モバイル)による音楽ユーザは5.2億人となり、そのうち、モバイルによる音楽ユーザは4.9億人とモバイルを介したユーザが非常に多くを占めています.
前述のインターネット人口と合わせて考えますと、その約70%が配信(ダウンロードやストリーミング)による音楽ユーザとなり、ほとんどがモバイルユーザであると言えます.

音楽市場

※ 出典:中国音楽家協会サイト

また、中国における音楽産業全体の市場規模(2017年)は、約3,250億元(5.53兆円)、前年比成長率7.8%、近年平均5%以上と順調な成長が続いています.
・音楽産業のコア層・・・デジタル音楽:530億元、コンサート:160億元、CD / DVD:11億元、版権:4億元
・関連層・・・音楽教育:760億元、音響:460億元、楽器:390億元
・発展層・・・カラオケ:870億元、ラジオ・テレビ音楽:62億元、映像・アニメ・ゲーム音楽:7億元

音楽市場

※ 出典:中国音楽家協会サイト

CD や DVD など音楽ソフト(パッケージ媒体)による販売は少なく、配信(ダウンロードやストリーミング)やプライベートカラオケが中心となって市場成長しています.
なお、「国際レコード連盟(IFPI)」が発表した『Global Music Report2017』によると、2016年の中国の卸価格ベースの音楽売上は約2億ドルとされ、全世界12位となります.
そのうち、売上の96%が配信、4%が音楽ソフトとされ、前述の通り、配信(ダウンロードやストリーミング)が中心の市場となっています.

直近のユニークな動向としては、元々、カラオケの市場が存在している中、モバイルカラオケという新しい市場が生れている点でしょうか.
まだ小規模ながら、3~4年で20億元程度の市場規模になり、まだまだ成長を予測されています.

■ タイの音楽市場

タイにおける音楽市場規模(ストリーミングを除く)は、約20億バーツ(66億円)となります.
音楽ソフト(パッケージ媒体)の減少は以前から継続していますが、配信(ストリーミング)が普及し始め、その結果、配信(ダウンロード)も減少の傾向にあります.
配信(ストリーミング)は月額400円程度で利用できる価格設定となっています.

音楽市場

なお、配信(ストリーミング)の音楽市場規模(2017年)は、約52億バーツ(172億円)と予測します.
・2017年の配信(ダウンロード)市場規模を2015~2016年の前年比率から試算 = 約13億バーツ
・2017年を境にダウンロードとストリーミングの比率が大きく逆転され、配信楽曲の約80%が配信(ストリーミング)となっていることから、13億バーツの4倍が配信(ストリーミング)の音楽市場規模と試算

■ ベトナムの音楽市場

ベトナムにおける配信(ダウンロードやストリーミング)の音楽市場規模(2017年)は、約900万ドル(10億円)となります.
配信(ダウンロードやストリーミング)が市場の90%以上を占めており、スマートフォンまたは PC による利用が中心です.

音楽市場

※ 出典:JETRO『ベトナムコンテンツ市場調査』(2018/3)

音楽ソフト(パーッケージ媒体)を扱う CD 制作会社は「Phuong Nam」の1社のみ.
ベトナム国内のアーティストのほとんどが、オンラインで楽曲を公開しているようです.

主要音楽配信サービスとして「Zing mp3」や「Nhac cua tui」があり、「Google Play」のダウンロード回数は両方の合算で120万回(2018/1時点)となります.

音楽市場

著作権および著作隣接権の侵害に対する制裁措置が規定されているものの、運用体制が確立しておらず、行政当局が実際に取り扱った音楽作品の著作権侵害事件は少ない、などまだ課題があります.

■ マレーシアの音楽市場

マレーシアにおける配信(ダウンロードやストリーミング)の音楽市場規模(2016年)は、約7,270万リンギット(20億円)となります.

音楽市場

※ 出典:JETRO『マレーシアにおけるコンテンツ産業調査』(2017/3)

音楽ソフト(パーッケージ媒体)の販売は大きく減少傾向にあり、既に配信による市場形成に移っています.
配信の内訳として、携帯電話の着信音楽ダウンロードの市場も相応に存在しているのが特徴です.
海外の音楽事業者が中心に浸透してきており、マレーシア発となる主要事業者はまだ存在していません.
そのため、マレーシアの国内アーティストが楽曲を音楽配信プラットフォームを介して展開することが難しい状況にあります.

音楽市場

* 総括

アジアは、既にインターネット環境が整備されている日本や韓国、台湾を除いて、いずれの国もモバイル(スマートフォン)を軸にインターネット人口が急速に増加しています.
また、各国の都市部では問題なく 4G のモバイル回線を利用できるようになってきています.
まだまだ違法ダウンロードは多いですが、配信(ダウンロードやストリーミング)による音楽市場の活性化が進展してきており、2020~2025年には配信(ストリーミング)で音楽を聴くことが当たり前な環境となっていると考えられます.

調べごと

Posted by isami