音楽配信サービス Deezer をレビュー
* 音楽配信サービスで新しい出会いを
音楽配信サービスというと「ダウンロード」と「サブスクリプション(ストリーミング)」に大別されるのですが、今回は後者についてのお話になります.
日本国内では、2015年頃から月額サブスクリプションモデルの音楽ストリーミングサービスが複数リリースされています.
有名どころですと、「Apple MUSIC」や「Google Play Music」、「AWA」、「Spotify」、などでしょうか.
いずれも月額1,000円程度で聴き放題となり、お手軽に様々な音楽を聴くことができます.
ジャンルやアーティストを選ぶだけで、ラジオを聴くように音楽を好きなだけ聴けますので、新しい楽曲やアーティストとの出会いが生れる可能性があり、自身で音楽に対する自身の幅を広げるのに便利・有効なサービスだと思います.
取り揃えているコンテンツのジャンルや数についてはサービスごとに異なりますが、ストリーミングされる楽曲の音質は、圧縮音源で概ね AAC/MP3 256kbpsあたりの品質と言われています.
そのような中、高音質のサービスとして位置付けられているのが今回のお題にもある「Deezer」で、昨年2017年末に、ようやく日本でもリリースされました.
この Deezer を聴き比べてみたいと思います.
* Deezer について
本社をフランスに置く音楽コンテンツプロバイダーで、月額サブスクリプションモデルの音楽ストリーミングサービスを提供しています.
ほとんどの国でサービス展開していますが、米国や日本への展開タイミングは遅めでした.
両国とも音楽の市場規模が大きく、特に日本は、CD などのパッケージ媒体の販売が多くを占めて他国と異なる傾向にあるため、タイミングを慎重に図っていたようです.
また、それ以外の他国で認知度やサービス品質を向上させていたとも考えられます.
とにかく、満を持して日本の音楽市場に参入してきたのが、2017年末だったというわけです.
Deezer のサービスの主な差別化ポイントは高音質です.
具体的には、可逆圧縮フォーマットであるロスレスを採用したものとなっており、44.1kHz/16bitリニアPCMといった品質です.
パッと聞いて分かり難いでしょうか……分かりやすくは CD と同等品質とのこと.
以前、CD プレーヤーとアンプをつないで CD で音楽を聴いていた身としては、それをストリーミングで気軽に聴けるということで惹かれます.
現在、と言いますかずっと(?)1ヵ月間(厳密には30日間)の無料トライアルができますので、まずはお試しで登録してみました.
が、1点すごく気になる点があります.
あとで気付いたのですが、PC から Web 経由でアカウント登録すると月額1,960円、iPhone から App Store 経由で専用アプリをダウンロードしてアカウント登録すると月額2,800円……どういうことでしょうか、サービス内容が異なるのでしょうか.
わたしは iPhone から登録してしまったのですが、よく分かりません(思考停止).
* Deezer の使用感
わたしは iPhone から App Store 経由でアカウント登録しましたので、まず、それ以降の動作について紹介したいと思います.
こちらは Deezer iPhone 向けアプリにログイン後のホーム画面です.
ジャンル別のチャンネルやおすすめプレイリスト、ランキング、などが並びます.
はじめはよく分からないため、とりあえず J-POP(歌謡曲) のプレイリストを選択.
なんでしょう、1970-80年代(?)、あたりの楽曲だらけですね.
検索窓から検索しないと「宇多田ヒカル」すら出すことは難しそうで、また、幅広く J-POP の楽曲は揃っていないようです.
チャンネルやプレイリストからクラシックは揃っていそうと思えましたので、検索窓から「カール・ベーム(Karl Böhm)」を検索してみました.
個人的にですが、ベームが指揮する楽曲があれば優先して聴くようにしています.
楽譜に忠実で、聴きやすい演奏が多いと思えるためです(あくまで私見です).
結構な数の楽曲が出てきました.
特定のジャンルやアーティストでは楽曲数が多めのようですので、コンテンツの嗜好が合うか否かがひとつポイントですね.
スナップショットで見てきた UI ですが、初見では項目が分かり難く、操作性もいまいちというのが感想です.
また、わたしの使用する iPhone 向けアプリ群では、アプリが落ちることはほとんど起こらないのですが、Deezer はそこそこ落ちます.
* Deezer の FLAC 音源を圧縮音源と聴き比べてみる
さて、まずはサービスを使えるようにできました.
続いて、FLAC 再生に対応しているデバイスで聴きたいと思います.
使用するのは、以前置き換えた「YAMAHA WXA-50」です.
「MusicCast」で操作して、Deezer の楽曲を聴きますよ.
こちらが MusicCast で WXA-50 にアクセスした画面.
Spotify や「radiko」に並んで標準対応しています(元々 Deezer は標準対応されていませんでしたが、WXA-50 のファームウェア・アップデートで使用できるようになっていました).
Deezer を選択してログインすると、基本的な分類項目のみが表示されます.
マイライブラリを選択すると、予め iPhone でお気に入りとして登録していた内容を表示できます.
アーティストにカール・ベームを登録しておきましたので、該当するアルバムなどを選択できます.
早速聴いてみた感想は……それほど驚きがありません.
あくまで CD と同等品質ですし、CD を好んで聴いていたからでしょうか.
圧縮音源と聴き比べをすれば違いが明白になるに違いない、と思いまして、Deezer で提供されている楽曲と同じ CD を圧縮音源で同音響環境で聴けるようにして、いざ、比較です.
なお、音量は変更せず同一で聴き比べます.
■ 音響・音源環境はこちら
アンプ / ネットワークプレーヤー:YAMAHA WXA-50
スピーカー:SCANDYNA MINIPOD(専用スピーカー台あり)
楽曲:モーツァルト作曲 交響曲第40番・第41番 / カール・ベーム指揮 / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
音源:Deezer の FLAC 音源(配信)、CD からリッピングした MP3 256kbps音源(USB 接続)
まずは Deezer から.
はい、先ほど聴いた感じですね、FLAC 表示されています.
次に、USB メモリに入れた MP3 256kbps音源です.
同じ楽曲を聴きます.
何度も聴き直して比べてみましたが……確かに Deezer の FLAC 音源の方が空間を感じると言いますか、しっかりと聴こえはしました.
ですが、正直、聴き比べして若干そのように感じた程度ですので、誤差ではないにしても気になる差ではありません.
真剣に聴くモード(スピーカーと程よく距離を置いてソファーにでも座りながら)で聴かなければ気付かないでしょう.
私見ですが、そこそこの音響環境であれば、圧縮音源でも十分良い音を聴かせてくれると元々思っています.
CD と同等品質程度では圧縮音源と大きな差別化にはらない、というのが比較後のわたしの評価です.
ハイレゾ音源なら差が出そうですが、ストリーミングサービスではまだ「PrimeSeat」くらいしかありません.
なお、音楽配信サービスは冒頭の通りほかにもたくさんあります.
品質で差をつけられないのであれば、コンテンツ量と使いやすさが主な差別化ポイントでしょうか.
現状では、Deezer の契約継続にポジティブになれなそうなのが残念ですが、コンテンツ量を増やして UI も改善されることに期待しておきましょう.
クラシックに限定すればコンテンツ量はあるかと思いますので、クラシック好きには悪くないかもしれません.
しかしながら……iPhone から App Store 経由でアカウント登録すると月額2,800円になることには、納得いきませんね.